どうも、たくろーです。
今回は小説家になろう発の人気タイトル『無職転生 〜異世界行ったら本気出す〜』のレビューです。
どうやらタイトルや概要だけを見て「この作品は気持ち悪いのではないか」とか「どうせつまらないんだろう」と思われているようですが、それはさすがにもったいない。
この作品は、人生です。
原作を最後まで読めば、まるでシリーズものの良質な映画を一気見したような読後感で「ええやん、人生って」と思わせてくれるような作品です。例えば「シュタインズゲート」や「ハンターハンター」などの大ヒットタイトルと並ぶくらい、それはもう素晴らしい作品です。
それが気持ち悪いなんて、とんでもない。
なお「本編」と「蛇足編」までの300話少々をすべて読んだレビューになりますので、息を吸うようにネタバレするかもしれませんが、ある程度はご了承ください。クリティカルなネタバレはしていないはずです。
※当記事の画像は、すべて無職転生アニメ公式サイトより引用しています。
『無職転生』は気持ち悪い?いやいやとんでもない。
『無職転生 〜異世界行ったら本気出す〜』は、小説家になろうで2012年〜2015年の期間で連載されていたWeb小説。完結後は『無職転生 蛇足編』として連載が続き、蛇足編も2017年で完結を迎えました。
(蛇足編まだ読んでない人は、確実に読むべきです。読まないなんてもったいない。)
そんな無職転生ですが、書籍化、コミカライズ、アニメ化、スマホゲーム化とメディアミックスも進んでおり、めちゃくちゃ人気なタイトルに成長しました。
で、そんな無職転生が気持ち悪いと。そんな評判が一部にあると。
とんでもない。
無職転生は、一人の男が精一杯生きた人生の描かれた素晴らしい物語なのです。
『無職転生』が気持ち悪いと思われる原因
そんな素晴らしい物語である『無職転生』ですが、とはいえ「気持ち悪い」と思われてしまう原因はわかります。
完全に誤解なので「いいから読め!とりあえず!」と言いたいところではありますが、一旦理解を示すのは大切ですよね。まずは深呼吸しましょう。
というわけで、『無職転生』が気持ち悪いと思われてしまう原因を整理しました。
初期から下ネタが変態的である
『無職転生』は、そこそこ下ネタの多い作品です。主人公のルーデウスは変態ですし、その父親のパウロも変態です。
作者ちょっと頭おかしいんじゃねえかと思うくらい、しょうもない下ネタが随所に盛り込まれています。
物語は「幼年期〜少年期〜青少年期〜青年期〜最終章」とルーデウスの成長に沿って進んでいくのですが、特に「幼年期」と「青少年期」あたりはシリアスシーンが少なめなこともあり、下ネタ頻度が多めだったりします。
下ネタが苦手な方からすると、やはり「気持ち悪い」と思われるのは仕方ないのかもしれません。
でも『無職転生』の本質はそこじゃなくて、そんな下ネタ満載で人間味のあるルーデウスの成長譚を追いかけられることなのです。ロキシーのパンツを御神体として飾っていたりしますが、ルーデウスは良い奴なのです。
しょうもない下ネタも含めて、一人の男の人生だと思って楽しみたいものです。
タイトルがテンプレすぎる
『無職転生』というタイトルが、いわゆる「なろう小説」のテンプレのような雰囲気を醸し出しているのも「気持ち悪い」と思われる理由です。(そもそも2012年〜連載されていたこの作品が、テンプレのパイオニアではあるのですが)
このタイトルを見て「はいはい、いつもの無双してハーレム作って『俺なんかやっちゃいました?』ってなるやつでしょ?知ってる知ってる」と思われてしまっている可能性があります。
はい、不正解。この無職転生は、いわゆるしょうもないテンプレ異世界作品とは全く違うものなのです。
あくまで僕の感想ですが「シュタインズゲート」とか「ハンターハンター」とかが好きな方は絶対気にいるであろう、熱く緻密なストーリーが魅力の作品ですね。
この辺りの作風が好きな方は、ぜひ読んでみることをお勧めします。
結局のところハーレム展開である
『無職転生』は、とはいえハーレム展開です。
最終的に主人公ルーデウスの嫁は3人になりますし、まあまあ下ネタはきつめですので、その点で「気持ち悪い」と思われるのは仕方ないのかもしれません。
でもルーデウスは、無意味に嫁を3人に増やすわけではありません。ストーリーの展開上「それはもう、そうならざるを得ない」という自然な流れで嫁が3人になるのです。
よくある「無理矢理女性キャラを増やしました」みたいな話ではありませんので、ハーレム嫌いな方もぜひチャレンジしてみていただきたい作品です。
『無職転生』が気持ち悪いなんてとんでもない。3つの魅力をレビュー
それでは、僕の思う『無職転生』の魅力について語っていきたいと思います。
人生が描かれた物語である
『無職転生』は、異世界に転生した元ヒキニート「ルーデウス」が主人公の物語です。しかしその実、描かれているのはルーデウスの人生だけではありません。
ルーデウスに関わる登場人物である、例えばシルフィ、エリス、ロキシー、ザノバ、ナナホシ、そしてルーデウスの子供たち。そういった多くのキャラクターの人生までが丁寧に描かれている、ある意味では「群像劇」のような作品になっています。
作者が無理矢理にキャラを動かしているのではなく、各登場人物が自立して世界のあちらこちらで自由に動いているようなストーリー展開を楽しめます。章が進むにつれて時間も進み、当然ながら全員が歳をとっていきます。(歳をとれない人もいるけど)
だからもう、下ネタがあるのも仕方ありません。元ヒキニートのルーデウスが勝手に動いてるんだから、下ネタがないほうがおかしい。ロキシーのパンツくらい持ち歩いたって仕方ありません。
勝手に動き回る登場人物達の行動を、作者はただ文章に書き起こしているだけ。そんな風にも感じるくらいの自然なストーリーが、『無職転生』の魅力です。
起承転結が綿密に計算されている
『無職転生』はストーリーの起承転結がしっかりしており、さらに言えばその起承転結が、境目の章である「ターニングポイント」でリセットされるようなストーリー展開になっています。
全体的な起承転結がありつつも、例えば「起」の中にもまた起承転結があるような、そんな素晴らしい構成です。おそらく全体の構成をほぼ完璧に計算して作ってから、一気に書かれたのではないでしょうか。
これは実力のあるプロ作家にしかできませんし、特にそのクオリティが実現されている「なろう小説」はさほど多くありません。
100話も読めば「まあ、あとはずっと同じような流れが続くんでしょ?」と思ってしまう作品も多い中、無職転生は300話近くある最後までハラハラしながら読めました。
「無職転生?どうせ主人公が無双してハーレムを作るご都合主義なストーリーなんやろ?」と思って読むのを敬遠しているなら、もったいない。
読み進めていて、章のタイトルに「ターニングポイント」の文字が出てくるだけで「やばい、ここからどうなるんだ」と動悸がしてくるような没入感を感じられる物語です。
文章のテンポ・ワードセンスが良い
『無職転生』は、アニメや漫画も作画が良くて素晴らしい作品なのですが、圧倒的に文章で読むのをおすすめします。原作でも小説でも良いのですが、圧倒的に文章推しです。
作者の「理不尽な孫の手」さん(なんだこの名前)は、ワードセンスや執筆センスに溢れている作家で、彼の書く物語はとにかく読みやすくて面白い。
物語の途中途中ではめちゃくちゃ重苦しい展開になることもあって「ちょっともうこの空気どうすんだよ」みたいな感じになってもおかしくない物語なのですが、絶妙にヌケのある文章やワードセンスで上手くバランスをとっています。
ところどころで名言も飛び出して、読み応えもあり、読み味の良い物語に仕上がっています。そんな良質なストーリーが1話から最終話まで飽きずに続くのですから、これほど素晴らしい作品はありません。
無職転生が気持ち悪いわけが無い
というわけで、『無職転生』が気持ち悪いなんて言ってるのは、まともにストーリーを追っていない人に違いありません。
なお原作は無料で読めますし、紙の本が良ければ書籍化もされています。
僕は圧倒的に文章推しですが、もし文章が苦手なら漫画でもアニメでも良いと思います。アニメならU-NEXT(31日無料)で配信されてますし、漫画はその辺のアプリでいくらか無料で読めたりします。
あとゲームアプリもありますが、こちらでも基本的なシナリオを追えるようになっています。
めちゃくちゃ良いお話ですので、ぜひ何らかの媒体で、ルーデウスたちの冒険譚に触れてみて下さい。